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【千屋牛の肉質に惚れ込んで|岡山・新見市哲多和牛牧場訪問 】

「この牛肉、なんか違う」

料理人として、これまで数多くの牛肉を扱ってきました。

和牛といえば、きれいに入った霜降り、とろけるような脂、柔らかな食感――。

もちろん、それも和牛の魅力です。

でも、私が千屋牛を食べたときに感じたのは、単純な「霜降りがすごい」という感覚ではありませんでした。

赤身の旨みと脂の甘み、そのバランスが非常に印象に残りました。

そして気がつけば、

「この牛は、どんな人がどのように育てているんだろう?」

そんな疑問が生まれ、牧場まで足を運ぶことになりました。

今回訪問したのは、千屋牛を生産する哲多和牛牧場様です。

千屋牛とは?日本の和牛のルーツともいわれる牛

まず知っておきたいのが「千屋牛(ちやぎゅう)」という牛肉です。

千屋牛は、岡山県新見市を中心に生産されている黒毛和種のブランド牛。

その歴史は江戸時代にまでさかのぼり、日本最古の蔓牛(つるうし)の一つとされる「竹の谷蔓」の系統を受け継いでいます。

「蔓牛」とは、優れた肉質や体格、繁殖能力などを持つ牛の系統を選抜・維持してきたもの。

現在の和牛のルーツを語るうえでも、非常に重要な存在です。

つまり千屋牛は、単なる「岡山県のブランド牛」ではありません。

日本の和牛が現在の姿になるまでの歴史を受け継いできた牛肉なのです。

千屋牛の特徴は「霜降り」だけではない

千屋牛の肉質で私が特に魅力を感じたのが、

「肉の旨味」

です。

千屋牛は、

肉本来の旨みを感じながら、脂の甘みや香りも楽しめる。

このバランスが、千屋牛ならではの魅力だと感じています。

JA晴れの国岡山でも、千屋牛について「ほどよい霜降りと赤身」が特徴で、良質なアミノ酸や不飽和脂肪酸による柔らかな食感と香りが、和牛本来の味を引き立てると紹介されています。

お店でも仕入れることができ、実際に料理として向き合ってみると、

「脂が重すぎない。」

「噛むほどに肉の旨みが出てくる。」

「香りがきれい。」

そんな印象を持ちました。

だからこそ、私は千屋牛に惹かれたのだと思います。

千屋牛は、どんな牛でも名乗れるわけではない

ブランド牛というと、名前だけが先行しているように思われることもあります。

しかし千屋牛には、明確な基準があります。

新見市内で繁殖・肥育を一貫して行った牛、または岡山県内で生産された子牛を導入し、新見市内で約18か月以上肥育された牛など、一定の生産条件を満たす必要があります。

さらに、肉質等級3以上などの基準も設けられています。

肉質等級4以上は「特選千屋牛」とされます。

つまり、

「新見で育てれば千屋牛」という単純な話ではない。

生産地、血統、肥育期間、肉質など、複数の条件をクリアして初めて「千屋牛」として認められるのです。

この厳格さも、ブランドとしての信頼につながっているのだと思います。

いざ、千屋牛の産地・新見市へ

そんな千屋牛に興味を持ち、

「一度、牧場を見てみたい。」

そう思い、岡山県新見市、哲多和牛牧場様へ。

(有)哲多和牛牧場 本場
Address: 日本、〒718-0312 岡山県新見市哲多町田淵1626−1
Phone: +81867962286

哲多和牛牧場は、新見市旧哲多町の荒戸山の麓にある牧場です。

そして特徴的なのが、繁殖から子牛の育成、肥育、出荷までを自社で行う一貫飼育に取り組んでいること。

つまり、

「生まれてから育つまで」

その牛の成長を一貫して見守ることができる牧場です。

哲多和牛牧場が大切にしていること

実際に牧場について調べてみると、非常に興味深い取り組みがありました。

哲多和牛牧場では、牛の飼育環境を整え、健康な牛を育てることを重視しています。

また、食品副産物などを活用した「エコフィード」にも取り組んでいます。

牛肉のおいしさを語るとき、

「どんな血統なのか」

「どんな飼料を与えているのか」

「どんな環境で育ったのか」

という話になりがちです。

でも、実際に産地を訪れて感じるのは、

牛肉の味は、生産者の考え方そのものが表れる。

ということ。

「食べて終わり」ではなく、「生産者に会いに行く」

飲食店で食材を扱っていると、

「この料理がおいしい。」

というところで終わってしまうことがあります。

でも、本当にその食材の魅力を伝えようと思ったら、

誰が作っているのか。

どこで作っているのか。

なぜ、この味になるのか。

そこまで知りたくなります。

だから今回、新見まで来ました。

実際に産地を訪れることで、今まで「千屋牛」という名前だけで見ていたものが、少し違って見えてきました。

そこには牛を育てる人がいて、

牛が育つ環境があって、

長い年月をかけて受け継がれてきた血統がある。

そして、そのすべてが一枚の牛肉につながっている。

私が千屋牛に惚れ込んだ理由

私が千屋牛を好きになった一番の理由は、

「和牛らしい濃厚な旨み」と「食べ疲れしない肉本来の味わい」

だと感じたからです。

霜降りの美しさだけを競うのではなく、赤身の旨みもしっかり感じられる。

口に入れた瞬間の柔らかさ。

脂の甘み。

そして、噛んだ後に残る肉の旨み。

このバランスが非常に魅力的です。

料理人として食材を選ぶなら、

「高級だから使う」

ではなく、

「この食材だからこそ、この料理にしたい」

と思えるかどうかが重要です。

千屋牛には、そう思わせる力がありました。

食材は、現地に行くと見え方が変わります。

千屋牛も同じでした。

新見の自然。

牛が育つ環境。

長い歴史。

そして、生産者の方々の仕事。

それらを知ったうえで食べる千屋牛は、単なる「高級牛肉」ではありません。

生産者から料理人へ。
料理人からお客様へ。

その間にあるストーリーまで含めて、初めて一つの料理になる。

私はそう考えています。

今回訪問させていただいた哲多和牛牧場様にも、改めて感謝申し上げます。

千屋牛を、もっと多くの人に知ってほしい

千屋牛は、全国的に有名なブランド牛と比べると、まだまだ知られていない部分もあります。

しかし、調べれば調べるほど、

「なぜ、もっと知られていないんだろう」

と思う牛肉です。

日本最古の蔓牛の系統。

新見という産地。

厳格な品質基準。

そして、赤身と霜降りのバランス。

一度食べれば、その魅力を感じてもらえる人は多いはずです。

だからこそ、私はこれからも生産者を訪ね、実際に見て、食べて、感じたことをお客様に伝えていきたいと思っています。

「おいしい」だけでは終わらない。

その一皿の向こう側にいる生産者まで伝える。

それも、食に携わる者の大切な仕事だと思っています。

哲多和牛牧場様について

今回訪問した哲多和牛牧場様は、岡山県新見市哲多町で千屋牛の繁殖・肥育一貫生産に取り組む牧場です。

千屋牛の歴史や肉質だけでなく、生産者の取り組みを知ることで、普段何気なく口にしている「和牛」という食材の見え方も変わってきます。

千屋牛に興味を持った方は、ぜひ一度、その味を実際に体験してみてください。

そして機会があれば、ぜひ岡山県新見市という「千屋牛の産地」にも足を運んでみてください。

食材を知る旅は、食をもっと面白くしてくれます。

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